旅先の友 〜京都にて〜 
服部 剛

旅先の京都の歩道で 
自転車がひとり倒れていた 

いつかの自分のように見え 
屈んだぼくは自転車を立てる 

振り返ったひとすじの歩道の 
雲間から出た日を浴びた先に 
遠のいて首をかしげた自転車が 
懸命に影を伸ばして立っていた 

もう一生会えない友のように 
軽く手をふった後背を向け 
冷たい風と一緒に 
ひとすじの道を 
ぼくは歩いた 





自由詩 旅先の友 〜京都にて〜  Copyright 服部 剛 2008-01-11 19:11:38
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