朱の珠へ
雨宮 之人

空をオレンジに染め上げる夕暮れ
長く伸びた影
久しぶりに笑った僕の
それはまったく笑っていなかった

夕焼けに目を
目を、射られて
降るあけに手を
手を、伸ばした

あと何ミリかで目覚める明日のその手触りを
そのぬくもりを
この手のひらが覚えている
熱い
熱い、
流れるその血を
僕は
感じて
感じて、
そして寂しい

紫の暮れ空
たくさんのぬくもりが
こぼれ落ちたこの手のひらから
朱のたまがひとつ
今日もひとつこぼれ落ちて


自由詩 朱の珠へ Copyright 雨宮 之人 2008-01-10 14:51:55
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