純粋正義への架橋1
チャオ

少し長くなります。
もし、目の前で死にそうな人がいたら、僕は助けられるだろうか?
目の前には大きな炎が立ちこめ、僕は助けるためにその中へ飛び込まなければいけない。
僕は三人の友人がいて、彼らは僕のことを慕っている。僕を傷つけるすべてのものを嫌う。
何よりも、僕には守るべき人がいて、死ぬわけには行かない。
かといって、目の前の死にそうな人を見過ごすことで、僕が何よりも僕を許せなくなるだろうことは、安易に予想がつく。
もし、目の前で死にそうな人がいたら、僕は助けられるのだろうか。

話を飛ばします。
目の前にあるものが赤色した、屋根だと僕は本当に分かってるのだろうか?
目の前の形は他人にとっても、僕と同じように見えるとは限らない。
僕の目は他人の目じゃない。
僕が指差すその方角に、陽が焼けた空がある。
僕はそれを赤という。
隣の友人も赤いねという。
かくして僕はその色を赤だと決め付ける。
目の前にあるものが赤色下屋根でないとすることも十分考えられる。

 最終的な問題は個人の中にしか存在しないのにもかかわらず、その価値、意味を決めるのは社会なのだ。社会は赤色を決め、道徳を決め、ありとありえる問題をただ隠すことに躍起になっている。


散文(批評随筆小説等) 純粋正義への架橋1 Copyright チャオ 2004-06-20 23:09:18
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