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七味とうがらし
黄金の銀杏の下、落ち葉を掃くより落ちる方が早くって、
もうすぐ暗くなるよって、黄金の絨毯に夢中な少女、ご主人をうかがいつつ、ぴょんぴょん、散歩する嬉しそうな、子犬、恥ずかしそうに、立ち小便するオヤジの横を通り過ぎて、幹の匂いを確認し、落ち葉を拾う、ぴょんぴょん、少女、銀杏の木の下、立ち小便する、子犬。細い曲がり角では、おばさんが一人、こけてこちらをうかがいつつ、いっちょまえに作り笑いをうかべ、何かを食べる、子犬、落ち葉の匂いを確認する、オヤジ、恥ずかしそうに、ぴょんぴょん、子犬は作り笑いをうかべ、何か食べている、ぼくは、見てないフリをしている。
水色の月が窓の中、
それを見上げることもない交差点、虫のように地を這うクラクション、それを指示するヘルメット、おおざっぱな動きで不機嫌になる水色。寒いから窓を閉めろ!ぶうぶう文句ばかりなテレビ。テレビ中心の生活。ビールのために働く生活。おおざっぱな、枯れかけの花、恥ずかしそうな、賞味期限、不機嫌な、クラクション。細い曲がり角では、お互いに譲り合わず、じりじりと地を這うクラクション。子犬は、いっちょまえに寝たフリをしている。
明日のちょっと前、
また今日も今日が終わり、体中に付け足された付箋が、大切なことを書き留めた付箋が、大切な順に1670万色に分けられた、テレビ。恥ずかしそうなテレビ。不機嫌なテレビ。光を放つリモコン、私の支配下にある。
掃くより早く落ちる落ち葉も、時間がたてば腹がへるのだが、
今日笑ったのはテレビだけ。ありがとうテレビ。
幹の匂いを確認する子犬。
私はぶうぶうクラクションを鳴らす。