あたりまえのこと
小川 葉

あたりまえのこと

少しヒステリックに
語ってしまった夜も
いつかあの汚れた壁の
やさしさみたいに
やがて言葉なく物語る

子供が放る
軟球が壁に当たっては
帰ってくるものを
受け止めるてのひらの柔らかさ
それほど過ぎた日々はやさしい

あたりまえのこと

いま私は去っていった
すべての出来事を
宇宙と定義してみる

その価値は古く
新しい彼等を
正しく計測することすら出来ない

柔らかくなった壁を前に
やはり言葉なく立ち尽くす
子供のてのひらほどのやさしさに
私はいまだ
遭遇したことがない


自由詩 あたりまえのこと Copyright 小川 葉 2008-01-08 04:19:00
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