「古い鏡台」
プテラノドン

埃をかぶった口紅を手に少女は、鏡のなかに翼を描いた。
それはぱくぱくとうごいて、風について多くのことを
語ろうとした。その時、うしろで誰かが口笛を吹かなければ、
まあたらしい風が吹かなければ―それから風が止んだ。
夢のようにおとなしい鏡のなかでいびきをかいている。
喋り疲れた翼も、やせっぽちな少女も、それだけじゃなく、
唇に紅くうっすらと それらしくのせられた羽も。


自由詩 「古い鏡台」 Copyright プテラノドン 2008-01-08 02:11:18
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