オルソクロマティック
しろう



真紅の薔薇が日々を分光する
赤/黄/緑/青
その赤だけを銀のスプーンで掬って
ボロネーゼソースに仕立てる

ヒヤシンス絆す忘国の姫君は
黒髪を手櫛で梳くように
カペリーニを茹で上げながら
スワヒリ語で子守歌を歌う

カンブリア紀の前庭で
黒猫があくびをして
ちろり赤い舌をのぞかせ
薔薇がまたその赤を分光する

赤からすべての色へ

すべての色から赤へ







自由詩 オルソクロマティック Copyright しろう 2008-01-07 20:02:52
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