Loneliness
石瀬琳々

小鳥を逃がした事がある
さみしい時に啼いてくれたのに
鳥籠にいる姿がかなしくて
僕の目の届かない世界まで遠くへやって
今もふとすると胸うちで啼いている
傷ついたその折れた翼で


   *


海に行くと必ず貝をひろう
耳にあてると声が聞こえる
誰か寂しいもののつぶやきだろうか
それとも僕のなかの海流の響き
ポケットはいつもあふれ返る
砂や思い出や海に埋没したもので


   *


うつくしい鈴を手に入れた
なめらかな銀はよく風にふるえる
この鈴に似合う猫を飼おうと思う
目尻が心もちきっとつり上がった猫だ
そして僕の可愛いねずみを狩る
ねずみは淋しがりだからちょうどいい




自由詩 Loneliness Copyright 石瀬琳々 2008-01-07 14:00:27
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