Loneliness
石瀬琳々
小鳥を逃がした事がある
さみしい時に啼いてくれたのに
鳥籠にいる姿がかなしくて
僕の目の届かない世界まで遠くへやって
今もふとすると胸うちで啼いている
傷ついたその折れた翼で
*
海に行くと必ず貝をひろう
耳にあてると声が聞こえる
誰か寂しいもののつぶやきだろうか
それとも僕のなかの海流の響き
ポケットはいつもあふれ返る
砂や思い出や海に埋没したもので
*
うつくしい鈴を手に入れた
なめらかな銀はよく風にふるえる
この鈴に似合う猫を飼おうと思う
目尻が心もちきっとつり上がった猫だ
そして僕の可愛いねずみを狩る
ねずみは淋しがりだからちょうどいい