「Ein〜」
しろう
-Ein-
星の上では朝と夜が淀みと流れを繰り返すから、
歩む速度を誤るたびに大事なものを見失う。
太陽も月も同じ速度のフリをするから、
光の速度で世界は歪む。
いつもアインシュタインは舌を出して笑う。
-Zwei-
ひざを打ち据え、太陽の残像に盲たまま手探りで、
手づかみでまた取り戻そうと這い出す新月。
いつもシュワルツカッツの双眸は闇に紛れる。
-Drei-
三日月のようにニヤつきながら、
カボチャのハロウィンが待ち伏せている。
ヤツが乾いて笑えないジョークを飛ばす前に。
-Vier-
立ち上がれ。
バウムクーヘンの地層に鉤爪のくびきをあてがい、
それを車輪にして。