「Ein〜」
しろう



-Ein-

星の上では朝と夜が淀みと流れを繰り返すから、
歩む速度を誤るたびに大事なものを見失う。
太陽も月も同じ速度のフリをするから、
光の速度で世界は歪む。
いつもアインシュタインは舌を出して笑う。


-Zwei-

ひざを打ち据え、太陽の残像に盲たまま手探りで、
手づかみでまた取り戻そうと這い出す新月。
いつもシュワルツカッツの双眸は闇に紛れる。


-Drei-

三日月のようにニヤつきながら、
カボチャのハロウィンが待ち伏せている。
ヤツが乾いて笑えないジョークを飛ばす前に。


-Vier-

立ち上がれ。
バウムクーヘンの地層に鉤爪のくびきをあてがい、
それを車輪にして。






自由詩 「Ein〜」 Copyright しろう 2008-01-06 21:04:42
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