回想は賢い(冷静なフィルター)
ホロウ・シカエルボク




あのあたりならなんとかなった
僕が
野晒しの死体のような
無力なヤツでも
君が
季節外れの雷に怯える
知的で臆病な子猫でも
あのあたりならなんとかなった

それが
間違いでも幼さでも
ともかく僕らは信じあっていて
たとえば地球が二つに割れても
同じ大陸に留まるだろうなんて
馬鹿みたいなことを
運命だと考えていた
あのあたりならなんとかなった
安い思いは
小さな部屋から外に出ることは出来ない
小さな部屋の中に
僕らは自己満足を塗りこめていたのだ
季節が変わっても
誰かが居なくなっても

無力な僕で悪かった
無力な
無力な僕で
すべての原因を知らん顔して背負えるような
采配も振るえないような男で
本当に悪かった

あのあたりならなんとかなった
その先はきっと同じことだけど
あのあたりならなんとかなった
無知で愚かだけど
僕らは屈強だった
屈強で



目隠しをして夢だけを見ていたんだ




自由詩 回想は賢い(冷静なフィルター) Copyright ホロウ・シカエルボク 2008-01-03 23:52:21
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