猫を求む
佐々木妖精

野良猫は仕事を求めている
ダンボールで背広を守るホームレスのように

野良猫は仕事を怖れている
歯医者で口を開けない子供のように

野良猫は仕事を決めかねている
半年前の求人誌を読み返す院生のように

野良猫は仕事を見つめる

かわいがりで鍛え抜かれた毛並みや
語呂の良い喉仏を

きっと

野良猫はこだわるだろう
壊れることで読み手を解放する詩人のように


野良猫は噛み付くだろう

正しさを追いかけ
適応に抗う青年のように

私は彼を雇う気でいる


玄関の給料は
今日もただ雨に食われた


自由詩 猫を求む Copyright 佐々木妖精 2008-01-01 19:53:21
notebook Home