「remain」
菊尾

ただ一人
切り離されたように
見知らぬ夜に佇んでいる
塞がったはずの空洞が
胸の中で痛みを生んでいく
足元が掬われる
膝が折れていく

影にいくら問いかけても
返事はないまま針は進む
部屋では静けさが渦巻いていて
指一本動かせやしない


茨に囲まれたこの庭で
私はあなたが置いていった宝石を磨いている
何一つにもなる事ができずに
きっとこのまま私は終わっていく
願っても恨んでも
かする事すら許されないの?


髪は今でも長いまま
視界は遮られているけれど
あなたを見れない世界なら
前髪を切ったって同じこと


痩せた体が求めているのは
他の誰かじゃなくて
もし私が今すぐ消えてしまっても
あなたは何も知らないままで


私はここに居る
あなたと居たこの場所で
膝を抱えたまま動けずに


自由詩 「remain」 Copyright 菊尾 2007-12-30 03:27:56
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