パレード 〜年の瀬の夜〜
服部 剛
今日も賑やかな
職場の仲間は
跡形も無く姿を消した
残業の時刻
静まり返った部屋で
ぱらぱら
書類の頁を捲りつつ
手にした判子を押してゆく
頁を捲る手を止めて
ふと見た一枚の書類に
押された同僚達の判子は
日付の順に列をなす
小さい丸枠に刻まれた
それぞれの名前は
あちらこちらに傾きながら
年の初めから
年の瀬まで
ひとすじの見えない糸に
結ばれる
静まり返った
仕事納めの夜
一枚の書類の上に
聞こえてくる
丸い顔を並べた同僚達の
賑やかな行進が
ゆく年から
くる年へ
橋を架ける