Christmas fantasy
音阿弥花三郎

クリスマスの準備に忙しいのは、   
雪だるまだって、同じ事です。   
飾り付けのための樅の木、プレゼント、   
おいしい食べ物やおいしいお菓子。
だから雪だるまはこっそり脚を伸ばして?
いそいそと買い物に行くのです。
ことに、樅の木は欠かせません。
クリスマスツリーがなくては、
子供たちが許しませんものね。
 
こんな事は雪だるまたちの秘密です。   
ドスンと丸い体を、雪の上においている姿が、   
一番かっこいい、と思っているからです。

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ところが今日に限って、
人間に出あってしまったのです。
ちょっとドキッとしましたが、
その人は驚いてもいないようです。
「きれいな人だな」
と、お父さん雪だるまは思いました。  
「今晩は」とあいさつをしました。   
「今晩は」と答えてくれました。   
ミス・・・と呼んだらいいのかな
ミセス・・・? いずれにしてもお母さんの
胴回りくらいはありそうな胸だな。   
と、心の中で呟いて   
お母さんだるまと交互に見ながら   
ソワソワしています。
 
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お母さんはニコニコしています。
子供はピョンピョン跳ねています。
帰り道お父さんだるまは、
「こんな事は、一生にあるかないかだよ」
と言ってから、
「あのワン公には、気をつけなくちゃな」 と、顔をしかめています。   
 
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雪が・・・また降り出しました。

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雪だるまが買い物に行くですって!
おまけに親子で!
信じられない人はクリスマスの朝
戸口の脇に作った雪だるまをよく見てご覧なさい。
彼? 彼女? は恋人に逢いに
行ったのです。
10センチほどずれているでしょう。
うっすらと雪の積もった足元には、
ほら、クリスマスリースが落ちていますよ。


自由詩 Christmas fantasy Copyright 音阿弥花三郎 2007-12-28 17:39:01
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