天使の忘れ物
クリ


(Insomnia)
あのとき初めて聞いた「さよなら」という言葉
無音の爆撃のなか 僕はまだ惰眠を貪っていた
ただ胸騒ぎ
夢の続きを 夢の続きを…
グーグー


そうして断層で象られる深淵に
優しく冷たく降り積もるマリンスノー
夢の名残りを 夢の名残りを…
忙しい空虚な日々に積み重なる 微かな覚醒
微かないらだち


(REM)
  gee, you overdosed
  me, who overdozed
  トムを眠らせ、トムの屋根にマリンスノー降り積む
  ジムを眠らせ、ジムの屋根にマリンスノー降り積む
  「そしてよだかの星は燃え続けました」


(覚醒夢)
「さよなら」
…これは別れではない
「beep! beep!」
…これは目覚ましのアラームではない
これは非常ベル だから起きなくてもいいんだ
…という矛盾夢巡


(覚醒)
…これは非常ベルではない
「さよなら」
僕は沈降しない
淵は海水で満たされている
僕は深淵を渡る夜鷹
浮遊ではない 僕は泳ぐ 僕は泳ぐ
…これは別れではない
…これは朝の報せ だから起きなくちゃ

僕は
誰かに読んでもらえる と
百万年の詩を
書き始めた

よだかいちぞうさんに捧げる



                      Kuri, Kipple : 2004.06.19


自由詩 天使の忘れ物 Copyright クリ 2004-06-19 01:58:29
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