迷子
エチカ
地下鉄の剥がれかかったサイン計画でいとも簡単に私は迷子になって
孤独に酔って人をビンで殴ってしまい簡単に割れた破片が人を壊して
しまっていて黄色いブロックに救われた盲者の白髪がはらりと落ちて
その瞬間を東京メトロのPASMOから弾かれてしまう哀しい音を聞いて
いたらポワンと発車のベルが鳴り私を迷子に引きずり込んだ
飛べない鳩が波打つアスファルトの隙間をかいくぐり餌をついばむの
幸福の王子様消えない何かを探す鳥がここにもいますよ孤独のように
片足をなくして飛べない鳥がここにもいます赤いはあとをあげてくだ
さい水面の鳥たちだって必死です書き出して書き出して必死に紙の上
に書き出している私たちも染まってはいけないこうではいけない描き
出さなくてはいけない執着を
駅の構内で永遠に続く鬼ごっこをしているような気がして私は愛した
人を傷つけてしまってもうどこかに行ってしまいたくて近くの蕎麦屋
に駆け込んでセルフの蕎麦をすすりながら過ぎ去っていく孤独を見た
影のように走っているので顔がなく口がなく目がなくただ過ぎていく
ので足だけはあるようであとは帯状にうねりをもってただひたすらに
流れていくだけなので私は坑鬱剤を町のネオンに溶かした
最終電車に間に合わせようと必死になってありとあらゆる執着を書き
出していると緑の制服を着たのっぺらぼうの駅員さんが白い手袋をは
めて手を振ってきたので私は鳩をペンキで白く塗って発車のベルを待
っているのですと言い鳩に飛べと命令して時計を見ると9−12の間を
針が指してベルは鳴りました鳩は固まったまま動かなくなってしまっ
たので私ペンで書きました
悲しみよ こんにちは、と。