アフター25
木屋 亞万

今年も終わりましたねと
トナカイは角を外しながら言う
雪と埃を落としながら
布をぐるりくるりと巻き付け
元の通りビニール袋に入れる
黒く細長いケースを開け
赤い柔らかな型に嵌め込む
今年も終わりましたよ
赤い鼻は暖炉を振り向く

サンタは暖炉の前
クリーム色のソファで眠る
真っ赤な帽子を膝にのせて
火の光が真っ赤な服に揺れている
小さな眼鏡の奥にある眼は閉じられている
世界を走り回った疲れと喜びに
どっぷりと溶け込んだ顔だ

ソファの下に世界地図が描かれた絨毯がある
この地図を操り2人は世界を翔けたのだ
上からぐるぐると地球儀の皮を剥くように
全ての子どもに贈り物を届けるために
地図は時間を包み込み
クリスマスの夜を支配する
時間と距離を飛び越えて
たくさんの円筒と海を渡り歩いた

サンタはいい子か悪い子かを見る眼鏡を外し
洗濯していた赤い衣服と白い袋を
アイロンをかけて丁寧に畳み
緑色のスーツケースにしまう
磨き込んだソリには灰色のカバーをかけて
手綱は束ねて赤茶色の袋にしまう

今年も終わったんだな
また一年かけて贈り物を集めよう
クリスマスは私達のために
そして私達はクリスマスのために
あるんだからね


自由詩 アフター25 Copyright 木屋 亞万 2007-12-26 21:56:02
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