ほっとみるく
空雪

銀色の鍋でじっくりことこと、
蜂蜜は茶色の小瓶から、
そんな情景にあこがれるけれど
現実世界の僕は まぁ
時の流れに逆らう気力など持たず
透明なカップを電子レンジに、
プラスチックケースから蜂蜜を注ぎ、
そんなふうに
午前一時
(スプーンはかろうじて憧れた色で)



わらっていようと思った
たとえば本当に彼らの言う通りなら
僕はわらっているべきなのです
(なんて幸福!)



あと幾つ
星が降ったら
あたたかな白い液体なしで
夢を見られるようになるのかな
(あのころのように)




真っ赤なジャムを入れたらどんな味がするのか
想像してみて、
でも今夜もまた
僕が垂らすのは金色の蜜
(たぶんね)






ベンチに座るとすり寄ってくる
あの黒猫と
語り合いたいと思う、冬の夜。




(ほんとはさ、きみに、貴方に、ねぇ、あのね、)



自由詩 ほっとみるく Copyright 空雪 2007-12-26 20:58:19
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