いつか見た空
川口 掌

    


たなびく雲の隙間から
海と空が混ざり合い 互いの青を否定する
鳥 が見上げる空は
ここより高く
墜ちる事を考えないからきっと飛んで居られる
私 の見上げる空は
どこまでも遠く霞んで夢の中に消える
夢は
見ません  想えば想うほど広がって
水素をいっぱい含んで登っていく
どかん!!
いいえ  ぱん
そう ぱん
フランスパンが食べたい
厚く硬い皮を 歯を食いしばって  引き千切って
なんども何度も引きちぎって 日常の
あの街も この人も 私のこの手も
むしゃむしゃ むしゃむしゃ
そ したら
きっと  ほら
優しくなれた   気がする


鳥の
鳥達の軌跡を眼で追う
あんなに遠くの空の向こう側から あっちのあんなに向こうまで
必死で見つめ追いかけて 見失い
ああ
そんな事すら
かなわない
私の空は
壁から落ちたディスプレィ
空の
青 だけが床に横たわる
起こす事すら 気が重い

窓を開けよう
ドアを開け放とう
風を招きいれ 風に乗って
遠くの町で
誰も居ない町で
風を見つめ空を感じよう
小高い丘に登り声を張り上げよう
そこに きっと
新しい空が見つかる
いつか見た空のような




自由詩 いつか見た空 Copyright 川口 掌 2007-12-26 15:52:46
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