君に伝える
九谷夏紀

なりゆきを知っておいてもらいたくて
君に伝えるよ
不特定多数の君に宛てて
ある程度事が進んでから説明するのはすごく面倒なことで
やっぱり一人か二人か
そのくらいの人数でも良いから逐一情況を知っていてほしい
言葉だけでわかってもらえないことを一緒に感じられるのは
ちょうどそのとき、
だけだと思うから
以前にもいちばん信頼できる君に伝えていたことがあって
毎日会える君に一日何回も報告してた
君にとってはうんざりだったかもしれない
だけど君は擬似体験できるからと
ほんとによく話を聞いてくれた
なにも押し付けない君に
ただただ聞いてくれた君に
すごく感謝していたことを君は知らないかもしれない
今思えば私は当時も冷静さを欠いていたし
今と同じようになんにもうまくいってなかった
(そのときはうまくいってはいけない事情もあったけど)
君はよく当事者である私でさえ忘れていることを
覚えていてくれて
君の脳の方が私の脳のような一体感は
不思議な感覚で実におもしろかった
君とはもう離れているし
いちいち報告しに行けない
一人だけでもいいから去年のいまごろ生まれたこの
悩ましき思想についてぜんぶ知っていてくれる人が
居てほしかったのに
1年のあいだ、知っているのは私だけで
せめて今からでも誰かに言ってみようかって思う
まだこの思いは続きそうだから
君が近くにいない今は
不特定多数の君たちへ
距離感がちょうど良いんだ、この場所は
私の妄想具合とか
思想と向き合えてないこととか
思想をどうしても切り離せないこととか
一方的な思想は変質だよな
記憶装置がもうひとつあるってことだよ
未来にまた会えて
そのときにはきっと
たのしい会話が待っているから
勝手に話を進めさせてもらうよ
今後ともよろしく


自由詩 君に伝える Copyright 九谷夏紀 2007-12-25 23:29:14
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