夢を見る人
たもつ
男の人が白い塀に寄りかかってる
ぼんやりした格好で
衣服には模様のようなものがついている
何をしているのか聞くと
誰かの夢の中なので勝手に動くことができないんです
と言う
かわいそうな気がしたので
持っていたお団子をひとつあげた
美味しい餡子ですね
男の人に教えてもらって
それが餡団子だと初めて知った
気がつけば日が落ちて夜になってる
あの暗い空はまぶたの裏側なのかもしれない
星がたくさん曖昧に散らばっていて
すべての星座を指差すことができた
あとどれくらいで誰かの夢は覚めるんだろう
夢の単位は時間ではなく距離なんですよ
そう言う男の人の皮膚が少し湿って見える
聞いたことのない話だったけど
自分もまったく同じ気持ちだと告げる