日が暮れる前の12月の空が好きだ。
藍色が地平から薄くなって行く。
夜に成るともっと濃くなる色がこの時だけ
薄くなって行く気がするのだ。
冷たい空気がキラキラして来てどんどん澄んでいく。
気が付くと外灯の光りが点々と輝いて、
暗くなる前から点灯されていたのだと知る。
冷たい空に電線が何本も走って街路を繋いでいる。
線路の高架が道路を大きく跨いで街並みを横断し、
その上をさらに高架線が走っている。
やや真ん中が膨らんだ放物線のそれが幾つも空を区切って走り、
葉を落とした街路樹が影絵のような枝を拡げている。
目を降ろすと交差点を行く自動車がライトを点け始め、
薄く浮かび上がった道路の先に何台ものライトが走って行く。
まだ午後五時にもなっていないと、
腕時計で時間を確認して驚いてしまう。
マンション群を背景にして
区切られた空が茜色に染まり始めた。
空は影絵の舞台のようだ。