kiwi(連詩)
山中 烏流

 
 
摘み上げた嘴の
上枝の先に光るものを
私は今も
追いかけている
 
それは時に
鉛にもなるのだが
なぜだか、離すことが
出来ないままだ
 
 
 足跡をみなよ
 
 貴方の所まで
 伸びたそれは
 抱きしめた時の
 影法師
 
 
呟いた唄は
いつしか風になるだろう
その一端に
私がいるとして
それはとても
望んだ答えに近い
 
遠く鳴る鐘は
飛び立つ瞬間の合図だと
教えていたのは
紛れもなく
私だと、いうことも
 
 
 響く、羽ばたく瞬間の
 メトロノーム
 定期的な、それ
 吹き抜ける貴方を
 私は見上げることしかできない
 
 ずいぶん遠くまで来てしまったんだね
 貴方はいつだって愛だ
 貴方をいつだって、
 
 
なぞった証には
羽が付きまとい続ける
その感触に甘える度
私はいつもより
強い、痛みを知る
 
伝わる声を、私の耳がさらう
 
限りある振動を
瞳に閉じ込めたとき
それでも貴方の声は
変わらずに、響いているだろうか
 
 
 散り散りになる
 舞い上がる羽の、ひとつ、ひとつ
 触れてみれば淡くなって
 
 大昔から貴方の肌に重なっていた気がするのに
 まだ足りない
 
 空が遠くなっていく
 私は地に、足をつけている
 
 
その存在と同じように
いつだって、届かなかったものに
私がようやく手を触れることを
一体誰が
咎めるというのだろう
 
面影は面影のままに
等しく、愛しいのだと
 
ひとつだけジャンプした、その時
私は初めて
私で、ある気がした。
 
 
 
 
 
 


自由詩 kiwi(連詩) Copyright 山中 烏流 2007-12-24 17:34:48
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