佐藤伊織

自転車で宿舎に帰る道は
いつも決まって霧の中だった

不意にあらわれる人を避けると
濡れた草が足を撫でた。

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やがて記憶の中には
雨が降ってくる
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雨は宿舎に降り
区切られた部屋に降り


僕の生き方
を優しく遮っていく



眠りの中で そっと



何もないところで
僕は


小さく 
    小さく


*

雨があがると
時は再び動き出す

断絶した壁の向こう側から
僕の知らない
世界として







*
地面は乾いていく
何も遺しはしないから







自由詩Copyright 佐藤伊織 2007-12-24 17:31:03
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