それぞれのクリスマスナイト
恋月 ぴの

ふたりで仲良くはしゃぎながら
飾り付けなんかして
これが幸せなのかなと思ってみたりした
去年のクリスマスナイト

今年も飾ってみようと
押し入れの奥から引っ張り出してはみたけれど
背高のっぽのツリーのてっぺんまで
わたしひとりじゃ背伸びしたって届かない

ちょっと崩れた化粧箱のすき間から
赤くて丸い玉のような飾り
がひとつ
ベッドの足の傍に落ちていた

この飾りだったかな
あなたは鼻の前に左手であてがうと
「おれってトナカイ!」
思わず引いてしまうようなギャグしてた

金色の吊り紐をつまんで
ほのかな月明かりに透かしてみると
忘れようとしても忘れられない
あなたの笑顔が鈍い輝きの向う側に映る

ロックフェラーセンターに負けない
大きなツリーを飾ろうねだなんて
いつものうそと知ってはいても
嬉しさに目を潤ませたりした

胸に抱いてから思い出と戻した
赤くて丸い玉のような飾り

箱のなかで静かに眠るツリーを眺め
これも幸せなのかなと思ってみたりする
ひとりきりのクリスマスナイト




自由詩 それぞれのクリスマスナイト Copyright 恋月 ぴの 2007-12-23 18:43:31
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