九谷夏紀

鞍馬の寺へ続く道を行く人は
息も乱れず
疲れた様子もなく坂道を登る
ただただ不器用な人だったはずの兄は
見違えるほどで
一つのことをやりとげたとき
開花したあなたという人
あなたのように立派に生きている人を
知らないと思った
いろんな人がけしかけて
ぬかるんだ道を歩いた
それでも達成した
35年目の心と体
己を律することが出来ない私は
少しばかりさかしいだけで
歴史もあなたみたいによく知らない
しあわせになってよ
どうか
純粋に思えるのはあなたのような兄だから
それは兄だからであって
妹である私に対してだからであって
誰かに恋をした時は困った人になるのかもしれなくても
味方になるよ
胸を張って
これまでもらったやさしさのぶん
どうか しあわせに
立派に生きているあなたという人が
なにも持っていないみたいな顔をして
また暮らしていく


自由詩Copyright 九谷夏紀 2007-12-22 22:01:50
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