写真
森さかな

 
 
 
 
 
琥珀色の教室の隅で
 
 
 
うずくまった
背中のよわい夕日が
 
一年後と
十年と
未来、のあいだに
 
 
 
消えてしまわないよう
おぼろげなものを夢みて
 
ぼくはまぶたをふさぐ
 
 
 
 
 
 
 
顔を覆うとさ、宇宙の
闇ばかりきれいに反射するのを知って
 
かなしみの
色を図鑑でさがした
 
電灯と
雨が好きなのだと
 
同じような風景画のなかで
青いきみは言う
 
 
 
 
 
 
 
(二人がわらっていられれば)
 
 
 
 
万華鏡みたいだと
季節に
流されるけど
 
 
 
変わらない
きみの透明なひとみ
白いかおばかり
 
書きなぐれば
 
 
 
それだけ
傷跡のように残るだろうか
 
 
 
 
(よかったのかな)
 
 
 
 
記憶することによって
ざわめく、白い指の温度は
まだここにある
 
 
 
 
時間に焼かれた
まぶたをそうっと開く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ねえ、
覚えていて
 
 
 


自由詩 写真 Copyright 森さかな 2007-12-22 02:04:15
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