真冬に尖る
草野春心



  真冬に尖っている



  (栄養摂りすぎちゃった)



  真夜中に尖っている
  無数の電線を切り裂いた
  自動販売機の釣銭を漁った
  真夜中に尖っている
  円錐形の自意識



  (おびただしい数の疑問符に囲まれて
   きみの肉体はほとんど消えちゃった)



  真冬に尖っている

   *

  遠い何処かにきっと
  ほんとうのきみがいる

   *

  誰かが忘れていった青空に
  トンビが見えない文字を描く
  真昼に尖っている
  真昼に尖っている
  渋谷の雑踏を真上から眺めて
  ほら、自分のことを見つけてごらんよ
  真昼に尖っている
  真昼に尖っている
  きみの影が小刻みに笑っている

   *

  時の中枢へ
  極所特異点へ
  真冬に尖っている



自由詩 真冬に尖る Copyright 草野春心 2007-12-21 00:56:32
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