"X"day
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切り倒されたクリスマスツリーの下敷きになって
森の妖精が死んでしまった 其の朝に
僕は初めて君の名前を耳にする

赤い毛糸 手編みのマフラーを
聖火で燃やしてサンタクロースに信号を送る

駅前のイルミネーションは求愛ダンスをして
コートが無い僕の愚かさを嘲笑っているんだ

ベイビー ハロー ハロー
僕の名前を聞いてくれ
君のこゝろに刻んでくれ
僕の名前を呼んでくれ
君の声で溶かしてくれ

忘れてしまわないように 僕にも手錠をかけてくれ

サンタクロースが死んだ朝に―――なんて
誰かが声を枯らして歌っていた 其の夜に
僕は遂に君の名前を囁いた

ゴミ箱の中 破れた靴下は
暖炉の火で灰になってダダリオ・カマロがいる空に昇る

シャロン 冬の星は求愛ダンスをして
指先が冷たい僕の最後の良心を唆しているんだ

ベイビー ハロー ハロー
クリスマスツリーに愛を刻んだよ
空が溶けているよ
夜が終わる頃には僕の名前を憶えてくれ

手放してしまわないように 今すぐ僕を殺してくれ


自由詩 "X"day Copyright 000 2007-12-20 23:25:32
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