受動パラレル
黒川排除 (oldsoup)

心臓の裏から散る紙吹雪赤

時差で今発煙筒を挙げている

刺した画鋲の並行世界で画鋲抜く

引き裂く手の感覚思う丘の上

人魂がある草原はずっと青

何を思えば月のように浮かんでいられるのか

奥から濡れだす洞窟幼い頃の頬摺り

屋根の斜めに切り立ちつつある大遊び

ここらの土濡れて湯気立ち永き石の萼

応接間ひとの息で吹き改める

枕元に雪の穴 光る灰漂う

口裏にあぎと置かれて糧蝕む

羽毛おどる路上に紙丸めて置く子

機械の流す血をわたくしらの背景とす

三日月二つが一つの夜に零を示す

森の芯黒き円柱の痛みを覚え

膨らむ肺廃墟の向こうの空気減る

乙女の灰の首電線が隠している

寝室の一個のメロンと化し誰か

高鳴りを口述して断つ男の音信


川柳 受動パラレル Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-12-20 21:31:46
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