かくれんぼ
服部 剛
ましろい壁に伏せた顔を
100数えて振り向くと
そこは360°静まり返った
今日という日の地平だった
いつのまにか鬼になっていたぼくは
今から探さなきゃならない
閉ざされたドア裏の闇に包まり
みつかる瞬間をひっそりと待つきみを
濁った金のドアノブを
かちゃりと回す
暗闇に射すひかりとともに
足を踏み入れるぼく
しゃがんでいたきみ
瞳を合わせる
部屋から飛び出すぼくらは
360°の地平を走る
ぼくを追うきみとの間に
吹き抜ける
言葉無き唄を聞きながら
地平の先に見える
あのましろい壁へ走り
おなじ気持で手を伸ばす
ぼくらはすきとおった
風のこども