絵本
石瀬琳々
黒い道がのびている
静かな
轍
(
わだち
)
が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて
灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
ぴんと張りつめている
心も凍った景色に同化して
立木は沈黙したまま
規則正しい線を描き続ける
視線はとらえる
静止した雪景のむこうにーーー
赤い家が建っている
窓を閉ざし厳かなカーテンにふちどられ
家の前には黒い道が
誘うようにどこまでもどこまでものびている
私は本を閉じた
自由詩
絵本
Copyright
石瀬琳々
2007-12-19 13:54:06
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