AIR
優羽
自分が見えなかった僕は
君に出会って初めて輪郭をもった
透明だった体も心も
次第に色付いていった
もっと君に見てもらいたくて
色はどんどん濃くなるけれど
僕は君が何色を好きなのか知らない
どう自分をつくればいいかわからない
もっと君を知りたくて
近づきたいのだけれど
あまりに濃くなりすぎた僕は
君を飲み込んでしまいそうで怖くなった
次第に色は薄れていき
僕はまた無と同化していった
それでも君は僕をみつけてくれた
初めて僕が色付いた日のように
そのままのあなたが好きだよ、と
君がいってくれるから
僕の目から初めて涙が零れた
やっと人間になれた気がした
ありのままの僕はきっと
泣き虫で一歩が踏み出せない
だけど確実に色付いたこの気持ちだけは
隠したくないと思った
勇気を出していってみた
僕をみつけてくれてありがとう
君は優しく微笑んでみせた
そして僕の手を握り
ずっと待っていたんだよ
と涙を零した
あまりにその涙が綺麗だったから
僕は残らず掌に受け止めた
するとそれは輝き出した
そして、とくん、とくん、と
僕の時間は流れ始めた