スミノフと僕
つばくらめ
ことばを交わしたい人がそばにいるのに
壁に貼られたメニュー表ばかり見ている
生ビール550円
横顔を見るタイミングだけうまくなる
「いい人」になんかなりたくない
「大切な人」になりたいのに
歓声を聞いているのももう慣れた
同じく箸袋を折る男を見て
箸おき一歩手前
なぜだかひどく安心している
どうしてそんなに早く帰るの
僕らもっとうまくやれるのに
道行く人の笑い声
きっと僕のことを笑ってる
今日も駅前のコンビニでスミノフを買って
なに食わぬ顔でネットしてる
明日も何も変わらない