Alice
エチカ

私は失敗の多い女の子じゃない。

生々しく映えている淡い光の中でみっともなくすがりつく、皮膚のたるみなんかでもない。
大きな椅子の中で眠りについて教えてアリス。
時間はまだ探せないの?

 火星が私の部屋に落ちてきて
 窓から宇宙が見えてしまった
 ママとの記憶
 クレーターが月が血が落ちた
 つきささるオルゴールに姿を変えて
 子供の頃の記憶
 弱い陰影におびえていた子供部屋
 光はやまなかった

そこに潜んでいるのは可憐な暴力性。
赤と白の水玉をモチーフにした、バービー人形の草原で遊びまわっている、原始的な果実たち。
まだここにきてはいけないわアリス。

一本の花を抱えた可憐な少女が、あまりにも滑稽にアスファルトの上を歩いている。
白く可憐なドレスをまとって、素敵な毎日にゆられておどる。
風を含んだそのシフォンはガラスの破片に埋もれて歌い、女王様と握手をするの。
花は赤いヒダのように私を今にたらしこむ。
ああ楽しい!
素敵だわ!
バリン バリンと壊れてゆくの。
花瓶も記憶も時計もすべて、子守唄を歌いながら。
バリン バリンと壊れてゆくのよ。


 ねえ、アリス
 水の中で浮遊する奇跡
 信じていたいのビルのすきまで。 
 閉じ込めないで
 ここにいて。

あなたの宇宙カプセル


 




自由詩 Alice Copyright エチカ 2007-12-19 00:07:34
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