あなたという、
山中 烏流

 
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
 
あなたの空を見せて
それがどこまでも続くことを
教えるように
 
 
私に映るあなたが
限りなく、あなたに
近いと良い
 
網膜に焼き付けた
あなたの所作、全てに
今も
相違が無いと良い
 
寂しがる前に、
唄を下さい
 
 
あなたはいずれ
別のひとになる
その足跡の一つだけに
私は息を潜めるだろう
 
それでも決して
振り向かないで欲しい
その時も、あなたは
私にとって
あなたで在り続けるのだから
 
 
あなたの色を出して
私との違いを
知らしめるように
 
あなたの海を広げて
そこが始まりであることを
告げるように
 
 
あなたに映る私が
限りなく、私と
違うと良い
 
強いて言えば
最初から、
映らない方が良い
 
欲しがる前に、
唄を下さい
 
 
私はいずれ
別のひとになる
その足跡の全てに
きっと、あなたはいる
 
それでも決して
振り向きはしない
その時は、もう
あなたにとって私は
私ではないのだから
 
 
あなたの唄を紡いで
早く、早く
目覚めるように
 
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
 


自由詩 あなたという、 Copyright 山中 烏流 2007-12-16 15:24:18
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