こがね けだもの
木立 悟



鈍色の唱の季節をかきまぜて微笑み交わす龍とけだもの



視が視から離れるたびに近くなるけだものは視る光のみなもと



おまえには自身を射抜く弓がある行方知れない弦のけだもの



腕ふたつひらいた曇を燃してゆくけだものの背にかけら降る午後



血のにじむ水のてのひら見つめては頬寄せ舌を沈めるけだもの



燃やしても燃やし尽くせぬ音は来て水紋を呑む片目けだもの



治るまま治らぬままに血の描くしたたりの道歩むけだもの



己れ失きまばゆさがただ降るを知る遠い笑みの日こがねけだもの










短歌 こがね けだもの Copyright 木立 悟 2007-12-16 12:45:25
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