十一月
音阿弥花三郎

北斗七星をはじめて見たのは
最近のことだ
ぼくが少年期を過ごした街は
空が区切られて
オリオンの三ツ星しか知らなかった
きみの家にいそいで
枯草の道を歩いているときだ
眼前にあらわれたのだ
立ちふさがるように
ぼくは
それだけをめざして歩いた
たどりつくと
きみを外につれ出した
ぼくはきみの肩をだき
空をさがした
息荒い二人に星々は
静止した雪だった
けれど
あんなに大きな星座なのに
きみは天の川を見たこともないぼくを笑った
からだはきみの体温を感じた

それは最近のことだと思っていた
ぼくがはじめて見た夜空
しかし十年がたっている


自由詩 十一月 Copyright 音阿弥花三郎 2007-12-15 04:31:51
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