巣箱
松本 涼

彼方の灯火を目指して
星が時間を登っていく

宿題を忘れた子供のような顔で
君が僕から目を逸らす

様々な哀しみと喜びの選集を
投影しながら窓枠を
低速で横切る薄い雲

ガスレンジの上でシチューの鍋が
カタコトと揺れている

幾億もの細胞へと発信される
瞬間の記憶

創り続ける僕らの日常
意識下の君に手を伸ばす

小さな巣箱の中で
今朝孵ったばかりの雛が
大きく鳴いている


自由詩 巣箱 Copyright 松本 涼 2007-12-11 21:14:44
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