網戸
たもつ
薄い網戸の向こう
何かの割れる音がする
今日は朝から寂しいものが降っているから
話しかけるみたいに一日を生きたい
消えていくシャーペン工場で作られた最後の一本が
同じ価格で店頭に並ぶように
壊れた時計だけが正確な時を刻んでしまうように
正しいものはいつもでも正しさを失わない
逝く人を思い
逝った人を思い
自分の手も言葉も汚すことなく
ぼくはたくさんの人を殺し
たくさんの人に殺される、これからもずっと
それでもまだ
人より優しいものを知らない
自由詩
網戸
Copyright
たもつ
2007-12-09 13:37:26
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