『Lighter Righter Writer』
東雲 李葉
強く望むほどの夢でもなく、
むしろその遠さに眩暈がしてしまいそうな、
そんな他人から見たら儚い夢物語。
必死に追いかける僕は浅はかなのかな?
「言葉だけですべてを伝える」
情景を眼前に描き出し感触を直接脳に伝える。
そんな”言葉”を操る人に僕はなってみたいんだ。
今いる場所から見える景色を、感じた想いを、
君も含めたすべての人に知ってほしい。
そして世界中が僕と同じこの場所に立って、
同じ目線と異なる思想で僕と同じ何かを感じてほしい。
偶然君と二人きりになった公園の、
誰もいない初夏の空気。時間の流れは曖昧で。
友達として並んで走らせた自転車の、
触れられそうで届かない距離。此処ではない何処か遠くへ。
淡い記憶は消える事無く、ただそこに淡いままで在り続ける。
けれどあの時感じた想いや気持ちは、
色濃い光を放ちながらもやがて薄らいでいってしまう。
その儚さに耐え切れないから人間は自分を遺したがる。
すべてが言葉を媒体に永遠の命を求めている。
不可能だと分かっていてもそう簡単に諦められない。
僕らはこんなに揺らぎ易い存在。
すべてを欲し消えてく何かを繋ぎ止めても、
「初めから何も無かった」のだと思い込めば、
簡単に、大切な面影さえ傷付く前に手離してしまう。
だけど、どんなに遠く儚くとも僕は夢を求めていたい。
叶わなくてもいいなんて思わない。たとえ発展途上でも、
一つでも多くの想いを記憶を誰かに知ってほしいから、
諦める事など考えたくない。
あの時二人になった公園で、僕が感じた想いのすべてが、
いつか君にも届くように。
褪せた記憶に言葉を重ねて、忘れかけた過去を取り戻そう。
いつか僕が魔法のような言葉を使いこなせたその時は、
何でもない夜に感じた淡く、
それでいて濃密な、微かに煌く幼い想いを、
ダイレクトに君の脳に届けるよ。
何よりも輝き、誰よりも正しい僕の言葉で、
僕のすべてを君にあげるよ。