みずのうた
たちばなまこと

背中でみず色をうたっている
こんなにも乾いているから
詩のたましいを“ふたあつ”もつ子の
みずのうた

誰もいない広場に
けやきやいちょうが積もっている
小さなひざをミルフィーユに沈める
ぺたん かさんかさんって
すくいあげて君に降らせると
きゃらきゃら笑う

雲がちぎれた場所から
風が吹く
ぼうやあぁ… ぼうやあぁ…
生えかわった妖精の羽が
踊りながら“たあくさん”おちてくる
もみじの手でつかまえようとする
みずのうたをうたいながら

妖精はあたらしい羽をのばして
光にのぼってかえる
ちぎれた場所をゆびさしたけれど
なにも言わずに“ふたあり”
みずのうた


自由詩 みずのうた Copyright たちばなまこと 2007-12-07 14:53:56
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