かえりみち
パンダコッタ


遠くでサイレンが聞こえる
緑化の葉が落ちていく
スロープしていく道も
高架下のグラフィティアートも
下校する女子高生たちも
出口のない夕暮れに染まり
その残光は誰の瞳にも吸い込まれ
秋空と同じように燃やされていく

封切られたばかりの映画
君とみた帰り
君が捨てた
トレンチコートに入ってたレシートは
何かを満たした残りカスで
街を型ぬく影もそれと
同じように寝転がっている
遠くでサイレンが聞こえる
いつか見た夢のように
この街を囲みたい
輸入雑貨のモダンさのように

多年草が枯れていく
その意識を包み込む
君の後ろについていく
その光景を包み込む
歩くスピードあげていく
その距離を包み込む
手をつなぐ
遠くでサイレンが聞こえる




自由詩 かえりみち Copyright パンダコッタ 2007-12-06 11:32:19
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