むしのいいやつ
佐々木妖精
シロヒトリ
玄関の番人
団欒に混じれず
いつも引き戸にいるさみしいやつ
外灯
衝突して身を削り、飛び回るクスサン
カブトムシとクワガタを探す子供
鱗粉
死んでた蛾には粉がなかった
粉が全部なくなったら蛾は死ぬんだ
だって生きてる蛾にはみんなあるし
オオミズアオ
手首に包帯を巻いた女
死ぬまで死のうとする女
実は綺麗な女
小学生
嫌いだから殺した
嫌いだった
網戸やら電柱だのに体当たりして
命をそぎ落としていく蛾
用水路で死んでいたのは
蛾だと思っていた
透明な羽のジャノメチョウ
蛾はずっと
死の象徴で
今も苦手だけど
全否定はできない
成長から老化へ
緩やかに身体が変化しているのを感じる
まだそれは些細なことで
でも俺には大問題で
肩たたき
今なら上手くやれる自信があるよ
肩がこるってどんな感じか
やっと分かったから
少しずつ 少しずつ
つなぎ止めてくれていた人が
記憶へ移住する
でっかいテレビは買わない
これ以上執着したくないんだ
少しずつ 少しずつ
蛾が憎めないやつになっていく
頼みたいことがあるんだ
もし、30年後とか40年後
まだ俺が生きていたら
その時は俺と
友達になってほしい