空の器
服部 剛
昨晩は夕餉のあとに
家族みんなでテレビを囲み
遠くへ嫁いだ姉が送ったビデオを入れて
5歳の姪が懸命に踊る姿を見ていた
今朝は早くに目が覚めて
寝ぼけ
眼
(
まなこ
)
で水を入れたグラスは
無数の汗をふきだし
とてもよい表情をしていた
昨日まで
わたしという器に入っていた
濁った水を流しにすてて
空
(
から
)
にする
今日から
汗にまみれて踊り抜き
泣いて父に泣きついた姪のような
すみきった水を入れたい
わたしという空の器に
自由詩
空の器
Copyright
服部 剛
2007-12-05 21:58:06
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