君を
ふるる

海がそっとまぶたをとじる
青い響きの中
かもめは
追撃機のようにまっすぐ堕ちた

手のひらにすくう砂
ランプの芯のようにあたたかい
ぼくは見上げ
あたたかいのは君の手だと知る

浮いたり沈んだりする
ホオジロザメを含んでいる海
ふるさとはつねに
遠ざかり近づき
ぼくは落ち着かない

パンの耳を焼いて
砂糖をまぶしただけのお菓子
君の足は
すんなりととてもきれい

ぼくは立とうとしてころぶ
時間のさざ波の中で
君のやさしいふくらみが
たゆたう
ぼくの中で

片手に握り締めたペン先からにじみ出す
言葉、言葉、言葉

遠ざかり近づく君

なくしたと思っていたぼく

探し続けていたぼく

君を、君を、君を

ここに記す





自由詩 君を Copyright ふるる 2007-12-04 22:56:51
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