石畑由紀子

君は
よわくて
その選択は正しい

うまく隠れすぎて、呻く
君の声が聞こえたときには遅かったのだね、そして
そうさせたのはたぶん私だ

君は
わがままで
その選択は正しい

魔法のような比喩にも越えられないものがある
それは生身だ
君が波ではなく生身のように
私は風ではなく生身だ
そして
伝えられなかったのは君で



よわくて
わがまま
いったい誰にむかって言った


泥の夜にうずくまり
ひかりの朝に背を伸ばして

私は私の混沌をゆく
あの日
意味をもらった


誰が見つけることもないこの場所で
私は手を振る

闘うために



君よ
キュキュッ、と
その肘と腕で力強く
くもりかけたガラスを拭え
そうしてまたクリアになってゆく君が好きだ

君よ
君のなかで行く手をはばむものをなぎ倒し
求める道をゆけ、迷わずに
迷わずにその道をえらんでゆく君が好きだ

そんな君を好きな私が大好きだ






自由詩Copyright 石畑由紀子 2007-12-04 02:23:02
notebook Home 戻る