冬眠の前のささやかな儀式について
大覚アキラ

十二月

凶暴な北風が
アイスピックのような鋭利さで
ちいさな子どもたちの目を突き刺して
後頭部から抜けてゆく

視力を奪われた子どもたちは
公園の砂場に集まって
花火を上げる

真っ白な光の中で
銀色の閃光が空々しく弾ける

一斉に飛び立つ
鳩の群れ

捨てられた子犬が
爆発音に驚いて逃げていく

すべてが寒色系で塗り潰された
限りなく冷ややかな風景

寂しがり屋の通り魔は
公園沿いの道に
銀色のポンティアックを停めて
口笛を吹き鳴らす

口笛にあわせて
つまらなそうに踊りだす子どもたち

雪が降る
もうすぐ雪が降るよ

空はまぶしいほどに
白く光っていた

十二月


自由詩 冬眠の前のささやかな儀式について Copyright 大覚アキラ 2007-12-03 19:29:22
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