十二月
音阿弥花三郎
はじまろうとする
あらゆる終りに贈る
季節たちの語りは終わった
わたしたちは手をはなし
時間のものがたりではなく
空間のものがたりをつくる
これからわたしはここ以外をめざし
ここ以外の土地についてかたりたい
あなたもまた
ここ以外の土地について報告するだろう
思えば、冬至の闇こそ
永くなろうとする朝のはじまり
わたしたちの出発にふさわしいではないか
四季それぞれの風は
じゅうぶんに
わたしたちの血とあらゆる分泌物をかわかしたのだ
ここでおわることばたちは
地誌の
序文となるように